仮設住宅の供給目標「5カ月で6万戸」
東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市で4月9日、被災地で初めてとなる応急仮設住宅の入居が始まった。被災地では、仮設住宅の供給が喫緊の課題となっている。大畠章宏国土交通相は4月5日、震災後の5カ月で6万戸を供給する目標を打ち出したが、建設の遅れが懸念されている。合板などの資材が逼迫していることに加え、建設に適した用地確保が進まないためだ。国交省によると、震災から1カ月たった4月11日時点で、岩手、宮城、福島、栃木、千葉、長野の6県は計6万2290戸の仮設住宅の建設を要請。一方で、着工済み、または着工予定の仮設住宅は合計1万279戸で、必要戸数の17%にとどまっている。最終的な必要戸数は確定していないが、7カ月間で約4万8300戸を供給した阪神・淡路大震災を上回るのは確実だ。
仮設住宅の迅速な供給に向け、国交省は住宅生産団体連合会
など関係団体に協力を要請。震災後の2カ月間で3万戸を供給するという目標から3万戸上積みし、震災後5カ月間で計6万戸の供給を関係団体に依頼した。国交省は、3月下旬に実施した建設資材に関する緊急調査に基づき、震災後2カ月で供給する仮設住宅3万戸分の資材は確保できるとの見通しを示している。資材不足の懸念について、大畠国交相は4月5日の会見で、「売り惜しみや買い占めが原因の場合には、断固たる法的措置を取る」と強調した。
国の仮設住宅の供給に関する当面の取り組み方針は、4月5日の「被災者向けの住宅供給の促進等に関する検討会議」(座長:池口修次国交副大臣)で決まった。検討会議は、国交省のほか、厚生労働省、総務省、経済産業省、農林水産省、環境省、防衛省、林野庁、消費者庁からなる。
会議の冒頭、松本龍防災担当相は「仮設住宅のニーズは、いま一番高い。用地確保という困難な状況があるが、スピード感をもって供給促進に取り組んでいかなければならない」と挨拶。座長の池口国交副大臣も「必要な資材の確保に支障が生じないように関係省庁が連携して取り組む」と述べた。
検討会では、輸入の仮設住宅を活用する方針を打ち出した。資材不足が深刻で、国内だけでは生産が追いつかないため、輸入によって早期の大量供給を進める狙いがある。国は輸入業者の登録など各県の取り組みを支援する。さらに、被災地域の雇用創出の観点も踏まえ、地域の工務店などによる仮設住宅の供給を促進することを打ち出した。住宅メーカーによるプレハブ住宅の建設だけでなく、地元産材を活用した木造の仮設住宅の建設も視野に入れる。各県の仮設住宅の仕様・規格を公表し、建設やアフターサービスの条件を提示することで、地元企業の参入を後押しする考えだ。
福島県は4月11日から仮設住宅の建設工事について、地元企業の公募を始めた。被災各県での地元企業への発注戸数は未確定だが、「何千戸というオーダーにとどまるのではないか」(国交省住宅生産課)という見通しだ。
仮設住宅の供給でネックとなっているのが、建設用地の不足だ。海岸近くは再び津波被害に遭う危険性があるため、内陸に建てざるを得ない。検討会議は、公有地が不足している実態を踏まえ、国有地や国の機関が保有している用地などを活用できるように、被災各県に情報提供や助言を行うことを決めた。民有地や農地の活用についても、必要に応じて助言する。用地不足による供給の遅れは、入居者の分散を招き、地域コミュニティー崩壊につながりかねない。検討会議は、仮設住宅の入居について、従前のコミュニティーが可能な限り維持されるよう配慮を求めた。入居者選定に当たる自治体に対し、必要な助言を行う考えだ。避難施設利用の長期化が予想されることから、一定規模以上の仮設住宅の建設に際しては、集会所などコミュニティーに必要な生活関連施設を併設するよう求めた。デイケアセンターなど高齢者向けの生活支援サービスを可能にするスペースの確保も求めている。立地や戸数規模などに応じて、郵便局やコンビニエンスストア、宅配便の受付などのサービスも必要だと指摘した。国は、被災者の当面の居住対策と合わせて、恒久的な住宅対策を進める。必要に応じ、災害公営住宅の建設などに着手できるよう、自治体と調整する。(佐々木大輔)
ソース :
日経アーキテクチュア 2011_4-25