東洋構造コンサルタント株式会社 1級建築士事務所
東洋構造コンサルタント_最新情報 東洋構造コンサルタント_会社情報 東洋構造コンサルタント_事業部 東洋構造コンサルタント_実績 東洋構造コンサルタント_お問い合わせ
東洋構造コンサルタント_トピックス

2013年の記事一覧
国土強靭化基本法が成立
朱鷺メッセ訴訟が8000万円で和解へ
南海トラフ巨大地震で「死者13万人超」
「阪神」で揺れた建物が「南海」に耐えるか
耐震化率「8割達成」の陰に2つの課題
東京都が震災後初の地震危険度ランクを公表
小学校の耐震診断で偽造発覚
竜巻で1500棟の家屋が損壊
義務付け耐震診断は結果を公表
国交省が吊り天井の脱落対策求める
建築学会が校舎の耐力度調査手法を見直し
セラミック製のプール天井が落下
大規模天井の落下対策を義務化
国交省が津波防災まちづくりの指針
南海トラフ巨大地震対策で最終報告
ニセ建築設備士が発覚
免震協がエキスパンションの指針作成
高齢者避難でエレベーター利用を提言
長周期地震動「階級2」を初観測
エスカレーター脱落防止の告示案を公表
国交省が耐火木造の詳細な設計例を提示
姉歯事件で最高裁が行政の責任否定
振動解析ミスで8億円超の賠償命令
震度6弱の照明落下事故で書類送検
震災時の崩落で書類送検
入船みなとタワーで天井落下
建築学会が天井落下防止で指針
南海トラフ地震被害は最大220兆円
天井の脱落対策が14年度から義務化へ
中破と大破が目立つ「耐震未対応」の体育館
補正予算で復興と防災に3.8兆円
義務対象の耐震診断は建築士に限定
被災校舎の復旧で粗雑工事
岡崎市が違法マンションに除去命令
大規模建築物の診断義務化
管理建築士講習の未受講で大量処分
ねじれ無視して全層崩壊を招く
建築確認不十分で静岡市に賠償命令




最新の記事一覧
大規模建築物の診断義務化
 国土交通省は、大規模建築物の耐震診断を義務付ける方針を固めた。首都直下地震や南海トラフ巨大地震などに備え、震災に強い街づくりを急ぐ。2013年の通常国会に耐震改修促進法の改修案を提出する方針だ。
 国交省は、1月25日に開催した社会資本整備審議会建築分科会の建築基準制度部会(部会長:久保哲夫・東京大学名誉教授)で、耐震化促進方策の骨子案を示した。ポイントは診断の義務化だ。現行の耐震改修促進法は、耐震診断・改修とも所有者の努力義務にとどまり、その実施は所有者の意思に委ねられている。国交省は、耐震化が進まない現状を打開し、耐震化を加速させるには、従来よりも踏み込んだ規制誘導策が必要だと判断した。
 新たな規制誘導策の対象者は、原則として対象建築物の所有者とする。国交省は従来、特定建築物を対象に耐震診断・改修に関する努力義務を課していたが、すべての住宅・建築物に広げる考え。診断義務化の対象は、特に多数の者が利用する大規模な特定建築物や、震災対策上、特に重要な建築物とする。病院や劇場、百貨店、学校、老人ホームなどのうち大規模な建築物を想定してる。1981年以前の旧耐震基準の建築物で、延べ面積5000㎡以上を対象とする見通しだ。自治体が指定する避難路沿道の建築物や、防災拠点施設なども対象とする。義務化対象は耐震診断の進捗などを踏まえ、順次、拡大する。15年末までに義務化する。避難路沿道の建築物や防災拠点施設は、自治体が指定する期限までに実施する。耐震診断の結果は所管行政庁が結果を公表する。結果をもとに、所管行政庁は耐震改修の指導・助言・指示を行う。指示に従わない場合はその旨を公表する。倒壊などの危険性が高い場合、建築基準法に基づく命令を出す。耐震性の表示制度も創設する。耐震診断によって耐震性があると判明した建築物や、改修によって耐震性を確保した建築物については、耐震性を有している旨を表示できるようにする。
 一方で、建物所有者の負担の軽減を図るため、診断・改修に対する費用への助成を増額する。併せて自治体による支援制度の創設、充実を目指す。特に多数の者が利用する大規模建築物、緊急輸送道路などの沿道建築物の耐震化について通常の助成制度に加え、重点的に支援する仕組みを創設する。13年度当初予算要求では、耐震診断の国費助成を現行の3分の1から2分の1に、耐震改修の国費助成を現行の11.5%(緊急輸送道路沿道は3分の1)から3分の1(同5分の2)にそれぞれ引き上げることを盛り込んだ。
 住宅の耐震改修などに対する支援も強化する。12年度補正予算案では、通常の支援に加え、1戸あたり30万円を追加支援することなどを盛り込んだ。さらに、13年度税制改正案では、耐震改修促進税制(住宅)の延長・拡充など盛り込んだ。耐震改修をした場合の所得税の控除限度額は現行20万円だが、14年4月から17年12月までの間、25万円に引き上げる。
 現行の耐震改修促進法では、耐震診断を行う者の資格要件を定めていない。義務化に際し、耐震診断の水準を確保するため、建築士などの一定の資格を持ち、かつ耐震診断に関する講習を受講した者に限定する方針を打ち出した。国は、自治体や建築士関係団体などと協力して、講習の受講を促す。受講を修了した技術者の名簿をウェブサイトで公表し、消費者が相談しやすい環境を整える。消費者が適切な工法、費用、効果などを判断できるようにするため、自治体や公的機関などによる情報提供、相談体制を充実させる。耐震改修事例をデータベース化し、公表する。全市町村に相談窓口の設置を目指す。さらに、居住、使用状況に大きな支障を来さない新たな耐震改修工法の活用を促すため、耐震改修計画の認定制度の要件を緩和する。地震に対する安全性の向上を図るため必要と認められるものについても対象とする。増築することがやむを得ないと所管行政庁が認める場合、指定容積率、指定建蔽率を超えることができるようにする。
 政府が1月11日に閣議決定した事業規模20兆円を超える緊急経済対策では、老朽インフラ対策、耐震化、防災などを政策の柱に据えている。国交省が今回打ち出した耐震化促進策は、こうした政府の方針に沿ったものだ。耐震化を促進するには、個々の建築物の耐震性能を把握することが欠かせない。耐震診断は耐震化に向けた「入り口」部分に当たる。義務付けによって所有者の自発的な行動を促す狙いがある。診断結果の公表・表示制度や、不動産取引の際の重要事項説明など、利用者の選択や市場メカニズムを使った方法を取り込むことで後押しする。行政にとっても、個々の建築物に対する具体的な指導、助言をすることが可能になる。だが、旧耐震基準で建てられた床面積が1000㎡以上の大規模な建築物は全国に15万棟以上あり、うち4割が耐震診断を受けていないのが実情だ。耐震改修や建て替えには多額の費用が必要になるため、所有者らの反発も予想される。投入できる国費にも限度があり、耐震化促進に向けたハードルは高い。
 1月25日の建築基準制度部会では、国交省による耐震化促進策の説明に対し、委員から実務面などで様々な意見が上がった。1つは、マンパワーの問題だ。すべての建築設計事務所が耐震診断に携わるわけではない。構造計算を外注するにしても、経験がある者は限られる。国交省の井上勝徳・建築指導課長は、「講習は延べ9万人が受講している。設計の本業があるため、どれくらい診断に携わってくれるか明確ではない。今後、精査したい」と述べた。もう1つは、コストの問題だ。実際にかかる費用は建築物によってまちまちで、想定以上の出費となることが少なくない。「診断の際、設計図や構造計算書がないことは多い。図面復元やアスベスト対策で調査に費用がかかる。規模一律の助成ではなく、細やかな対策をお願いしたい」(日本建築士事務所協会連合会の宮原浩輔委員)、「既存不適格の物件の改修で30年、40年前の法に照らしていくのは不可能。行き着くまでの下準備が膨大になる」(東洋大学教授の工藤和美委員)といった声が上がった。このほか、検査済み証のない建築物や違反建築物の扱い、リフォーム工事の資格をめぐる意見などもあった。建築基準制度部会は2月12日に開く次回会合で、報告書を取りまとめる予定だ。 (佐々木 大輔)









ソース :
日経アーキテクチュア 2013_2-10
このページのトップへ