東洋構造コンサルタント株式会社 1級建築士事務所
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岡崎市が違法マンションに除去命令
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振動解析ミスで8億円超の賠償命令
 屋上に設けたジェットコースターの運転によって建物が異常に揺れたのは、建物に加わる水平外力の条件を誤って振動解析したのが原因だ——。量販店のドン・キホーテが東京・六本木店に設けたジェットコースターを稼働できなくなったとして、設計と施工を手掛けたスイスの遊戯施設メーカー「インタミン」の日本法人に約8億6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地方裁判所は3月29日、全額の支払いを命じた。六本木店は2001年4月にオープン。鉄骨造で地下1階、地上8階建ての建物屋上に「ハーフパイプ」と呼ぶジェットコースターを組み立てたのは05年10月だ。インタミンにとって、既存の建物屋上に同種の施設を設置するのは世界で初めての事例だった。設置後の05年11月、乗客を乗せずに試運転したところ、ドン・キホーテが「建物に異常な振動が発生している」として、インタミンに試運転をやめさせた。ジェットコースターは結局、試運転を2日間しただけで営業開始に至らなかった。ドン・キホーテは06年9月、提訴に踏み切った。

 訴訟では振動の有無が争点となった。ドン・キホーテは試運転で建物内の照明や空調の室内機が大きく揺れ、隣接建物からも苦情があったと訴えた。同社が独自に関西設計(大阪市)に依頼した振動解析をもとに、屋上階では震度3に相当する揺れがあったと主張した。そのうえで、繁華街の建物屋上という特殊な場所にジェットコースターを設けるため、振動などに対して事前に十分な検討をするようインタミンと特約を結んでいたと主張。インタミンが義務を果たさなかったとして、ジェットコースターの設計費や施工費に加え、建物内の改修といった付帯工事費や、ジェットコースターの解体費などの損害賠償を求めた。これに対し、インタミンは試運転で異常な振動は起こっていないと反論。当初の計画通り1カ月間かけて調整すれば、振動を受忍限度の範囲内に抑えられたにもかかわらず、試運転が打ち切られたと主張した。逆にドン・キホーテに対し、施工費などの未払い分に当たる約1億9900万円を求めた。インタミンは着工前の04年9月、ジェットコースターの構造評定を日本建築センターから取得した。振動解析を手掛けたのは構造計画研究所だった。「ジェットコースターの振動と建物とが共振しないことを確かめて、評定を取得した」とインタミンは訴えた。インタミンは、ドン・キホーテが試運転の続行を中止したのは、振動とは関係のない周辺住民の反対運動が背景にあると主張。住民の反対運動で工事を継続できなくなった責任を転嫁したと訴えた。

判決で地裁は、ドン・キホーテ側の主張をほぼ全面的に認めた。インタミン側が構造評定を取得する過程で振動解析を実施した際、ジェットコースターの運転によって建物に加わる水平外力の条件は「明らかに不適切で過失があった」と断じた。ドン・キホーテが依頼した関西設計はまず、U字形になったレール上を台車が往復する同型のジェットコースターの動きをビデオで見て観察。次に、台車がレールの最下点から45度上がった位置で最も大きな水平外力が生じることや、台車がレールを往復する間に水平外力の方向が左、左、右、右と複雑に変化することなどを条件に反映して、振動解析を実施した。一方、インタミンから依頼を受けた構造計画研究所は、水平外力を10秒周期の正弦波として振動解析していた。構造計画研究所はインタミンからジェットコースターの台車の動きについて、「1分間に12回、徐々に高さが高くなり、徐々に高さが低くなる反復運動をする」とだけ聞かされていた。そこで構造計画研究所は、水平外力を正弦波として振動解析を実施しても問題ないかと提案。インタミンから異論は出なかったという。地裁は以下のように言及した。「構造計画研究所はジェットコースターの運転の詳細を把握できなかった。安全性だけなら外力の最大値で検討すればよいものの、振動などが問題となる居住性の検討は、実際の外力の変化に似た条件をインタミンが提示すべきだった」。さらに地裁は、防振ゴムやアクティブマスダンパーによる対策は困難と判断。インタミンが建物の振動を抑えられる可能性があるとは認められず、工事の完成義務が履行不能になったと結論付けた。
 本誌の取材に対し、ドン・キホーテ広報室は「特にコメントすることはない」と回答。インタミンの日本法人であるインタミン・ジャパン(東京都杉並区)からは、回答が得られなかった。建物と遊戯施設を組み合わせ、「世界初」を掲げて集客を目指す商業施設。しかし、両者で設計者や施工者が異なる場合は珍しくなく、振動解析などの複雑な検討が不十分となって、完成後に思わぬトラブルを招くケースもある。関係者の連携と慎重な検討が必要不可欠といえそうだ。 (瀬川 滋)






 













     


ソース :
日経アーキテクチュア 2013_4-25
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