東洋構造コンサルタント株式会社 1級建築士事務所
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義務付け耐震診断は結果を公表
 11月下旬に施行される改正耐震改修促進法。1981年以前の旧耐震基準で建てられた大規模建築物に耐震診断を義務付けるもので、耐震基準に適合していることを示すマークが新設される。国土交通省は8月下旬、関係する政省令や告示の案を相次いで公表した。明らかになった制度の概要を解説する。
 改正法では、特に不特定多数の者が利用する大規模な建築物や、震災対策上、特に重要な建築物(緊急輸送道路の沿道建築物、防災拠点施設)などについて、所有者に耐震診断を義務付け、所管行政庁が診断結果を公表することが盛り込まれた。政令ではこのうち、2015年末までに診断を義務付ける「要緊急安全確認大規模建築物」の対象規模を定める。素案によると、病院、店舗、旅館などは階数3および床面積の合計5000㎡以上を対象とする。幼稚園や保育所は階数2および床面積の合計1500㎡以上、小中学校は階数2および床面積の合計3000㎡以上、老人ホームなどは階数2および床面積の合計5000㎡以上で、避難に要する時間などを考慮して規制を厳しくした(図1)。

 改正法のポイントは、耐震診断結果の公表まで踏み込んだことだ。省令では公表する内容を定める。建築物の名称、所在地、用途、耐震診断の結果、耐震改修や建て替え、除却の予定の有無、予定する実施時期などが、ウェブサイトなどで公開される見通しだ。
 地域特有の事情を踏まえ、公表時期については一律に期限を定めないことにした。所管行政庁は耐震診断結果を建築物ごとに一覧できるよう取りまとめたうえで公表する。公表後に耐震改修などで耐震性が確保された建築物については公表内容にその旨を付記するなど、迅速に耐震改修に取り組んだ所有者が不利になることのないよう必要な措置を講じる。
 耐震性の表示制度も創設する。診断結果やその後の改修で建物が基準を満たしていると認められれば、建物や広告に適合マークを表示できるようになる。省令案では、新たなマークのデザイン案を公表した。今後、認定の申請書類など必要事項を定める。申請書類には検査済証の添付が必要になる。自治体に対し、公共建築物で表示制度を積極的に活用することを求める。

 義務付け対象建築物の耐震診断を実施する資格者は、国に登録した機関が行う「登録耐震診断資格者講習」を修了した建築士に限定する。耐震診断・改修設計の質を確保する狙いがある。学歴や実務経験を偽ったことが判明した者、故意または過失により耐震診断を粗雑にしたことが明らかになった者には、資格がない。建築士で過去に同様の講習を受けた者、大学またはこれに相当する外国の学校で耐震診断または耐震改修設計に関する科目を担当する教授、准教授の職にある者、建築物の耐震診断または耐震改修設計に関する科目の研究によって博士の学位を授与された者などについては受講を免除する方針だ。
 講習は(1)建築物の耐震診断総論、(2)建築物の耐震改修の促進に関する法令の構成と概要、(3)各構造の建築物の耐震診断の方法、(4)各構造の建築物の耐震改修設計、(5)例題演習———といった科目からなる。
 国は耐震改修支援センターなどと連携し、耐震改修の実施が可能な建築士の一覧や耐震改修工法の選択、耐震診断・耐震改修の費用の判断の参考となる事例集を作成し、ウェブサイトなどで公表する考えだ。(佐々木 大輔)  

(図1)2015年末までの診断義務化対象
用途 規模
 病院、店舗、旅館など  階数3および床面積の合計5000㎡以上
 体育館  階数1および床面積の合計5000㎡以上
 老人ホームなど  階数2および床面積の合計5000㎡以上
 幼稚園、保育所  階数2および床面積の合計1500㎡以上
 小学校、中学校など  階数2および床面積の合計3000㎡以上
 危険物貯蔵所など  階数1および5000㎡以上
2015年末までに診断を義務付ける「要緊急安全確認大規模建築物」の対象規模。幼稚園・保育所や小中学校、老人ホームなどは規制が厳しくなっている。要緊急安全確認大規模建築物は、全国で約4000棟に上るとみられている。(資料:国土交通省)





















ソース :
日経アーキテクチュア 2013_9-10
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