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建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定
 社会資本整備審議会では、国土交通大臣から今後の建築基準制度のあり方についての諮問を受け、調査審議のため学識者、設計、生産、消費者、弁護士、地方行政等の関係者から構成する建築基準制度部会を設置し、数度の検討を経て、2013年2月12日開催の第4回部会において「住宅・建築物の耐震化方策のあり方について(第1次報告)」をとりまとめた。
 この第1次報告を受けて政府は3月8日、耐震改修促進法改正案を閣議決定したので、以下に報告する。

大規模地震に備える
 今回の改正の趣旨は、大規模な地震の発生に備えて、建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進するため、地震に対する安全性が明らかでない建築物の耐震診断の実施の義務付け、耐震改修計画の認定基準の緩和等の措置を講ずる、というものである。
 東日本大震災からちょうど2年。首都直下型や南海トラフなど、甚大な被害を引き起こす地震が想定されており、建築物の耐震化率の向上が求められている。
耐震化促進に向けた強化策
 耐震化促進に向けた今回の改正の概要は以下のとおりである。

(1)不特定かつ多数の者が利用する大規模な建築物等に対する耐震診断の義務付け
 不特定かつ多数の者が利用する大規模な建築物、大規模な地震が発生した場合においてその利用を確保することが公益上必要な建築物等の所有者は、耐震診断を行い、その結果を一定期限までに所管行政庁に報告しなければならないこととする。

(2)耐震診断及び耐震改修の努力義務の対象となる建築物の範囲の拡大
 耐震診断及び耐震改修を行う努力義務が課せられる建築物の範囲を拡大し、現行の建築基準法の耐震関係規定に適合しない全ての建築物を対象とすることとする。

(3)耐震改修計画の認定基準の緩和による増築及び改築の範囲の拡大並びに認定に係る建築物の容積率及び建ぺい率の特例措置の創設
 所管行政庁が建築物の耐震改修の計画を認定することができる増築及び改築の範囲を拡大するとともに、増築に係る容積率及び建ぺい率の特例を講じることとする。

(4)建築物の地震に対する安全性に係る認定制度の創設
 建築物の地震に対する安全性に係る認定制度を創設し、当該認定を受けた建築物の所有者は、当該建築物等にその旨の表示を付することができることとする。

(5)区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定制度の創設
 区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定制度を創設し、当該認定を受けた区分所有建築物については、区分所有者の集会の決議(過半数)により耐震改修を行うことができることとする。


建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案  <予算関連法律案>
背景
◆住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震化率を平成27年までに9割(平成17年:75%)にする。
 目標(「地震防災戦略」<中央防災会議決定(H17)>)の達成には、耐震化を一層促進することが必要。(現行の耐震基準はS56.6に導入)
◆南海トラフの巨大地震や首都直下地震の被害想定で、これらの地震が最大クラスの規模で発生した場合、東日本大震災を超える甚大な人的・物的被害が発生することがほぼ確実視。
(南海トラフの巨大地震の被害想定(H24.8 内閣府):建物被害約94〜240万棟、死者数約3〜32万人)


建築物の耐震化を加速するため、施策の強化は喫緊の課題


改正案の概要
■建築物の耐震化の促進のための規制強化
【耐震診断の義務化・耐震診断結果の公表】
病院、店舗、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物及び学校、老人ホーム等の避難弱者が利用する建築物のうち大規模なもの等
平成27年末まで

地方公共団体が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物
都道府県が指定する庁舎、避難所等の防災拠点建築物
地方公共団体が指定する期限まで

(現行制度)
耐震診断結果に基づく耐震改修の促進
耐震改修の指示(従わない場合はその旨の公表)
倒壊等の危険性が高い場合
建築基準法による改修命令等

【全ての建築物の耐震化の促進】
○マンションを含む住宅や小規模建築物等についても、耐震診断及び必要に応じた耐震改修の努力義務を創設。

■建築物の耐震化の円滑な促進のための措置
【耐震改修計画の認定基準の緩和及び容積率・建ぺい率の特例】
○新たな耐震改修工法も認定可能になるよう、耐震改修計画の認定制度について対象工事の拡大及び容積率、建ぺい率の特例措置の創設。
【耐震性に係る表示制度の創設】
○耐震性が確保される旨の認定を受けた建築物について、その旨を表示できる制度を創設。
【区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定】
○耐震改修の必要性の認定を受けた区分所有建築物(マンション等)について、大規模な耐震改修を行おうとする場合の決議要件を緩和。(区分所有法の特例:3/4→1/2)


(参考)支援措置の拡充
○住宅の改修・建替え等に対する緊急支援【平成24年度補正予算案】
通常の支援(国11.5%等、地方11.5%等)に加え、30万円/戸を追加支援(国15万円/戸、地方15万円/戸)
○耐震診断の義務付け対象建築物に対する重点的・緊急的支援【平成25年度予算案】
耐震診断:国[通常]1/3⇒[緊急支援]1/2
耐震改修等:国[通常]11.5%、1/3⇒[緊急支援]1/3、2/5
(通常の社会資本整備交付金による国費分を含む助成率。上記の他、社会資本整備総合交付金等を利用した既存の耐震補助制度がない地方公共団体の区域においても一定の支援)
○耐震改修促進税制(住宅)の拡充【平成25年度税制改正案】


住宅・建築物の耐震化を強力に促進

資料:国土交通省